木桶仕込みとは、上図のような木製の桶を使って発酵食品を製造する手法を指します。
発酵食品は、温度の変化によってその風味が左右するため、木桶を使用することで木独自の自然の力を活かした温度調節が可能となります。また木桶は麹菌が住み着きやすい環境であることから、木桶で作られる味噌はステンタンクで作られる味噌では作り出せない、風味と香りを生み出すことができます。そのため日本では古くから発酵食品は大きな木桶を使って製造され、私たちの食文化を支えてきました。
しかし、近年の工業化の流れとともに、大量生産大量消費に不向きな木桶や木桶仕込みの調味料の市場は縮小しています。中でも、木桶仕込みの味噌づくりは、現在も一部の味噌蔵で受け継がれていますが、その出荷量は全国の味噌生産量のおよそ1パーセント以下といわれています。また木桶自体を製造する職人も高齢化や後継者不足が原因で年々減少傾向にあります。これらに加え、液漏れしにくいことや移動が簡単だという効率性を優先した理由から、現在ではステンタンクを用いて作られることが主です。